14:40となり、後半のステージがスタートします。
9.YAGIBUSHI(インストゥルメンタル)
八木節は、群馬県と栃木県の二県に渡って愛されている俗謡・盆踊り唄20年前くらいに田尻さんが吹奏楽のスコアを手に入れられて、それをアレンジした演奏曲になります。この曲は歌が無く演奏のみになるので、岸さんから客席のみなさんに「適当なところで手拍子を入れてください」とアナウンスします。岸さんがタンバリンを叩きながら、ステージを一周する形で手拍子をするように促して、それに合わせて客席からも手拍子が沸き起こりました。前の曲が歌無しだったので、今度は「客席のみなさんにも歌ってもらいます」と云う話になります。
10.森のくまさん(今人と会場のお客さん)
作詞・作曲:不詳(アメリカ民謡)
日本語訳詞:馬場祥弘
今人のメンバーが1人ずつ先行して歌を歌って、それについて客席が追いかけて歌うと云う形式で進められました。今人のメンバーのマイクが入っていなかったり、ちょっと歌い遅れたりと云うハプニングもありながらも、何とか歌い終わりました。このシーンは、今人のYouTubeチャンネルに掲載されるそうです。
11.前橋ブルース(リード:田尻さん、コーラス:佐藤さん)
作詞:星野哲郎 作曲:中川博之
原曲歌唱:森雄二とサザンクロス
1982年にリリースされたご当地ソング昨年、お客様からリクエストされた曲だそうです。昨今は“昭和歌謡”が若い人達にも人気を博していますが、その一つとして“ムード歌謡”も注目を浴びています。田尻さんがこの歌の歌詞を解説してから歌い始められました。岸さんは、ここでも後ろに置いてあったカホンに座ってタンバリンの担当でした。
12.東京ブキウギ(リード:佐藤さん)
作詞:鈴木勝 作曲:服部良一
原曲歌唱:笠置シヅ子
1947年に発表された、復興に向かう日本を象徴する流行歌NHKの朝ドラ『ブギウギ』でも有名になった曲です。佐藤さんは、加藤和彦さんが結成されたサディスティック・ミカ・バンドが「サイクリング・ブギ」が好きで、そこから「ブギ」が好きになったのだそうです。1番が終わったところで、岸さんが立ち上がってタンバリンを叩いて、客席の手拍子を促します。そして、この間奏のところで、各メンバーの“ソロ廻し”が行なわれます。
ここで、岸さんから急に“カラオケ教室”の話が出て来ます。昨年の今人のはっぴよう会のステージで、岸さんがお客さんに向かって「自分が経験して来た歌の技術を、少しずつでもみんなに伝えたい」と仰って、いつか“カラオケ教室”みたいな形で、歌を上手に歌えるコツを少しずつ伝授したい、と云うようなお話をなさっていました。それで、千鶴さんから「あの(カラオケ教室の)話はやらないの?」と促されたので、今年の今人のライブでそれをやってみようと思い立ったそうです。
まずは、ヴィブラートの掛け方についてのレッスン。今日教えて1年後のこのはっぴょう会までに“宿題”として練習して来てくださいと云うことになりました。
ソの音で「アー」と声を出して、次にファの音で「アー」と出して、それを連続して「アー、アー、アー、アー」と続けて出すと云う発声を繰り返します。次にソの音で「アー」と声を出して、続いてミの音で「アー」と出して、それをまた「アー、アー、アー、アー」と連続させます。
これを練習すると、いい塩梅でヴィブラートが出せるようになるとのことです。岸さんによる“カラオケ教室”その1でした。
13.襟裳岬(リード:岸さん)
作詞:岡本おさみ 作曲:吉田拓郎
原曲歌唱:森進一
1974年1月15日に発売された29枚目のシングル曲この曲は130万枚のレコード売上を記録し、1974年に第16回日本レコード大賞と、第5回日本歌謡大賞の大賞をダブル受賞し、さらにその年末の「第25回NHK紅白歌合戦」において、森進一はこの曲で4回目の白組トリ、及び初の大トリを飾ったほどで、1974年を代表する大ヒット曲と言っていいと思います。私もこの曲が大好きで、よくカラオケで歌います。今人の編成を考えると、作曲した吉田拓郎のセルフカヴァー盤のようなフォーク系のアレンジで来るのかなぁと思ったら、やはり森進一が歌ったアレンジに近かったですね。
14.恋におちて -Fall in love-(リード:千鶴さん、コーラス:岸さん)
作詞:湯川れい子 作曲:小林明子
原曲歌唱:小林明子
1985年8月31日にリリースされたデビューシングル曲1985年8月30日から放送されたTBS系TVドラマ『金曜日の妻たちへIII・恋におちて』の主題歌に起用されたことで大ヒットした曲です。ドラマ放映より1年も前に、当時音楽制作会社に勤務していた小林明子がある歌手のために作曲しましたが、その歌手が引退してしまい、この曲は世に出ないままになっていました。しばらくして偶然にもこの曲がドラマ関係者の耳に入り、湯川れい子が詞をつけて、歌手を誰にしようかと検討したところ、「デモテープ用に歌った声がいい」と云うことになり、作曲した小林明子自身が歌うことになりました。この歌の歌詞で「ダイヤル回して手を止めた」と云う部分は、ダイヤル式の電話を描写していますが、1980年代後半は公衆電話がダイヤル式からプッシュホン式に替わった時代で、家庭でもプッシュホン式が普及して来ていて、「ダイヤル回す」と云う表現は時代遅れじゃないか?との反対意見もあったそうですが、作詞者の湯川れい子は「ダイヤル式は電話をかける時に時間がかかり、その時に迷う心理を表現するため」に敢えてこの部分を残して発表しました。千鶴さんのリードを下から支える感じの岸さんのコーラスが良かったですね。
次の曲に入る前に、佐藤さんが「イントロクイズです」と仰って、次の曲のイントロをギターで一節演奏されました。印象的なメロディなので、直ぐに何の曲なのか判ったのですが、次の曲に向けてギターの準備をしていた田尻さんは「イントロクイズです」と云う佐藤さんのフリが聴こえていなくて、「えっ?もう始まるの?」と云った顔で驚いていました。それを受けて、佐藤さんは「イントロクイズだよ。まだ始まらないよ」と返しました。
何故、佐藤さんがこのイントロを弾いたのか?と云うと、この曲のイントロが現在の今人のメンバーを結びつけるキッカケとなったからなのです。今を去ること56年前、佐藤さんが高校2年生の頃に、校内放送でこのイントロが流れて来たそうです。それを聴いて佐藤さんが「アルペジオか」と呟いたのを、一緒に廊下を歩いていた田尻さんがそれを聴いて、「えっ?!」と云う顔をしたそうです。田尻さんは、高校の文化祭でもギターを演奏していて、既にギターが弾ける存在だったので、佐藤さんに「何でそんなことを知ってるんだ?」と佐藤さんに訊くと「最近、ギターを始めたんだ」との佐藤さんの返事。それでさらに田尻さんは佐藤さんに質問を投げかけます。「『A taste of honey』のThe VenturesとThe Beatlesの違いが判るか?」佐藤さんが「The Beatlesが3拍子でThe Venturesが4拍子だ」と答えたら、田尻さんが「今度の日曜日、俺の家に来いよ」と云うことになり、佐藤さんが田尻さんを訪ねて行くと、田尻さんがギターを持って待ち構えていて、グループサウンズやフォークソングなどいろんな楽譜を出して来て、「歌ってみろ」と言われて佐藤さんがそれに応えて歌ったそうです。田尻さんとしては、一緒に音楽をやって行く仲間としての“オーディション”のようなものだったようで、それから大学時代を経て、いろいろな変遷があり、2011年に佐藤さんが今人に誘われて、現在の7人になったそうです。
前振りが長くなりましたが、次の曲が今人に佐藤さんが加わるキッカケとなった1曲です。
15.花の首飾り(リード:佐藤さん、コーラス:田尻さん、岸さん)
作詞:菅原房子 補作:なかにし礼 作曲:すぎやまこういち
原曲歌唱:ザ・タイガース
1968年3月25日にリリーされた5枚目のシングル曲佐藤さんと田尻さんの高校時代からの繋がりが感じられる、いいハーモニーでした。
16.夢のカリフォルニア(California Dreamin’)(岸さん、千鶴さん、佐藤さん、田尻さん)
作詞・作曲:John Phillips、Michelle Phillips
原曲歌唱:The Mamas & the Papas
1965年12月にリリースされた2枚目のシングル曲この曲は、バンドリーダーである石倉さんからのリクエストです。The Mamas & the Papasは、1960年代にアメリカで活躍した男性2名、女性2名の混声のフォークグループで、この曲もヴォーカルとコーラスが重なったり追っかけたりしながら歌われるため、ここまでそれぞれにリードを務めて来た4人が一緒に歌われました。この曲は私も好きだったので、嬉しかったです。
17.この広い野原いっぱい(リード:千鶴さん、コーラス:佐藤さん)
作詞:小薗江圭子 作曲:森山良子
原曲歌唱:森山良子
1967年1月2日にリリースされたデビューシングル曲この曲は、森山良子のデビュー曲として、当時のフォーク全盛期にヒットした曲です。そのため、千鶴さんがキーボードではなくアコースティックギターを弾いて、岸さんがタンバリン、ドラムの遠山さんがカホンを演奏すると云う、フォークテイストの効いた編成に変わりました。
いよいよ、次で本編最後の曲になります。
18.め組のひと(リード:田尻さん、コーラス:佐藤さん)
作詞:麻生麗二 作曲:井上大輔
原曲歌唱:ラッツ&スター
1983年4月1日にリリースされたファーストシングル曲田尻さんが「なぜこの曲を選んだか?と云うと、“めっ!”と云うのがやりたかったから」と云うことでした。確かにこの曲は、「めっ!」と言って、目の前で横に「V」サインをすると云う振りが当時も流行りました。最後の曲と云うこともあって、客席のファンの人達から“おひねり”がステージに向かっていっぱい飛んで来ました。こんな“おひねり”が仕込まれているとは私たちは全く知らなかったので、ちょっとビックリしました。
【アンコール】19.ガッチャマンの歌(リード:岸さん、コーラス:佐藤さん)
作詞:竜の子プロ文芸部 作曲:小林亜星
TVアニメ『科学忍者隊ガッチャマン』(1972年)前期ED・後期OP
原曲歌唱:子門真人
ここまでアニメソングが1曲も出てこなかったところに、まさかアンコールでこんな曲が出て来るとは! 岸さんがアニソンファンである私たちにサービスとして歌ってくれたのでしょうね。最後は、会場の皆さんも一緒になって歌いました。時刻は15:57となり、今回のはっぴょう会の演目は全て終了となりました。
今回は、比較的新しい歌もあり、バリエーションに富んだ選曲になっていましたね。岸さんを始め、「今人」の皆さん、そしてこの発表会の開催に携わられた関係者の皆さん、本当に楽しくステキな時間を過ごさせていただき、ありがとうございました。